老人ホームでの調理の仕事とは?


超高齢社会の真っただ中にある日本では、介護業界で働く人材が常に不足している状態にあるといわれています。そのため、異なる業界から介護職へ転職する人も少なくありません。老人ホームを始めとした介護施設の求人では、施設の入居者の身体介護をする仕事の他にも、調理の仕事も募集されています。

老人ホームでの調理の仕事とはどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

老人ホームの調理の仕事とは?

老人ホームの調理の仕事は、入居者に提供する食事を作ることです。調理師として募集されている場合は、国家資格である調理師免許が必要になります。調理補助、あるいは調理スタッフとして募集されている場合は、必ずしも調理師免許は必要ではありません。

主な仕事内容は、調理をはじめ、配膳や食材の管理、献立の作成などがあげられます。老人ホームによっては、清掃も業務内容に含まれるケースもあるようです。調理業務だけがよいという人は、面接のときに清掃業務の有無を確認しておきましょう。

老人ホームによって仕事内容は変わる

老人ホームによっても、調理の仕事内容は異なります。すべての料理を手作りして提供するところもあれば、レトルト食品を盛り付けて出しているところもあります。あるいは、給食センターで作られた料理が届いて、それを温めなおして提供するというケースもあるようです。

いちから手作りしていない老人ホームの場合は、調理業務が少なく、片付けや皿洗いなどの付随する業務が占める割合が高くなります。一方で、すべての料理を手作りしている老人ホームでは、調理業務が中心であり、他の調理スタッフと分担して作業を進めていきます。

そのため、コミュニケーションをきちんととりながら、協力して働く姿勢が求められるでしょう。

入居者に合わせて特別メニューを提供することもある

老人ホームの種類によって、介護度の低い人が入居しているところもあれば、要介護状態の人が多く入居しているところもあります。入居者一人一人の身体状態を考慮して、その人に合わせたメニューを提供することも少なくありません。

例えば、咀嚼したり飲み込んだりする機能が衰えている人には、食材をミキサーですりつぶす、または、細かく刻むといった調理法が必要になります。糖尿病や高血圧といった病気を患っている人には、別メニューを考えて提供しているようです。

このような特別な配慮が必要になる点は、一般的な飲食店における調理の仕事と大きく異なる部分でしょう。

老人ホームの種類と高齢者介護の問題点について

老人ホームで調理の仕事をするメリット

ほとんどの老人ホームでは、シフト制が採用されています。基本的に残業は少なく、夜勤はありません。ですから、小さいお子さんがいる主婦・主夫でも、仕事と家庭の両立がしやすいことがメリットです。老人ホームによっては、時短勤務を設けているところもありますし、託児所を併設しているところもあり、子育て世帯が働きやすい環境がそろっています。

また、運営母体が比較的大きな老人ホームであれば、福利厚生が充実している傾向が見られます。新しい設備を導入するなど、働く環境を整備する老人ホームも増えているそうです。

老人ホームの調理で大変なこと

ほとんどの老人ホームでは、食事の時間がきちんと決められています。○○時からはレクリエーション、○○時からは入浴、というように1日のスケジュールに沿ってみんな行動しているのです。もし、食事の時間までに料理を提供できなかったとしたら、その後のスケジュールがずれ込んでしまいます。

老人ホームで働いている介護スタッフに迷惑がかかってしまうので、何としてでも時間は守らなければなりません。慣れないうちはペース配分がわからずに苦労するかもしれませんが、一緒に働く調理スタッフがいるはずですので、サポートしてもらいながら学んでいきましょう。

雇用形態ごとの年収

老人ホームの調理の仕事には、正社員とパート・アルバイトがあります。正社員の調理師の年収は、300万円前後が目安のようです。正社員なので、社会保険やボーナスなどの各種手当がつきます。求人の数としては、パート・アルバイトでの募集が目立ちます。

パート・アルバイトの時給は、1000円前後が目安となるようです。調理師免許を持っていない人は、調理補助・調理スタッフとして老人ホームで2年以上の経験を積み、そこで調理師の資格を取ればキャリアアップすることができます。

調理師免許があることで、仕事の幅がさらに広がりますし、資格手当てが支給されることもあります。すでに調理師免許を持っている人の場合は、マネジメントスキルを身につけることで、キャリアアップを図ることができるでしょう。

調理業務全体を統括し、調理スタッフを管理するポジションにつくことができれば、給与アップが見込めます。また、マネジメント経験があることは、転職の際に有利になる可能性大です。

老人ホームの調理の仕事に向いている人

老人ホームでの調理の仕事は、調理師免許を持っている人なら、ブランクがある状態でも比較的復帰しやすい環境といえます。年齢や学歴に関係なく、調理師を募集している老人ホームは少なくありません。もちろん、ブランクも問わないケースが多いようです。

過去に調理師として働いていたけど、しばらく遠ざかっていたという人は、ぜひ応募してみましょう。これから調理師免許を取りたいと思っている人は、老人ホームでの調理補助がおすすめです。調理師免許を取得するためには、2年間の実務経験が必要になります。

残業や夜勤がないので、働きながら無理なく調理師の資格を取ることができるでしょう。また、まったくの未経験という人にも実はおすすめです。老人ホームの調理補助・調理スタッフの求人には、未経験でもOKというものも比較的多いからです。

普段、家で料理をしている人なら、その経験が役に立つのではないでしょうか。介護業界に興味のある人は、ぜひ応募してみてください。

老人ホームで調理の仕事につく方法

老人ホームの調理の求人は、ハローワークや求人サイトなどで探すのが一般的です。欠員による求人の他、新しくオープンする老人ホームのオープニングスタッフなどもあります。こまめに情報をチェックしていれば、希望条件にマッチした求人を見つけることができるでしょう。

ただし、誰もが魅力的に感じる求人は、その分応募者が集中します。ライバルが多いだけに、限られた採用を勝ち取ることは難しくなるかもしれません。効率よく転職先を見つけたいという人は、転職エージェントを利用するのも一つの方法です。

転職に役立つさまざまなアドバイスをもらえる上、非公開求人を紹介してもらえる可能性もあります。